
最近、AIが何でもコード書いてくれるし…
僕、もうプログラミングとか真面目に勉強しなくていいのかな?
IT業界30年以上、フリーランスSEのおにぎりです。
今日はちょっと、いつもと違う切り口でお話しさせてください。
このブログでは、これまで「時代にとらわれない・はやりすたりのないリーダーの話」ばかりを書いてきました。
今回はあえて、一番ホットな流行の話題――「AI時代にプログラミング知識は不要なのか?」という問いを取り上げます。
ただし、切り口はいつもと同じです。
――AIに限らず、この業界では同じ構図が何度も繰り返されている、という話です。
「AIが書くなら、自分はプログラミング勉強しなくていいのでは?」
「マネジメントさえできれば、技術は詳しくなくても大丈夫では?」
「これから技術力を磨くのは、コスパが悪いのでは?」
結論から言うと、AI時代こそ、リーダーにはプログラミング・IT技術の知識が必要です。ただし、求められる形は少し変わります。
実は「○○不要論」は、IT業界で何度も繰り返されている
AIが話題だから特別な時代に見えるかもしれません。でも一歩引いて眺めると、「これからはプログラミングなんて要らない」という言説は、5〜10年周期でずっと繰り返されてきたのが分かります。
- 1990年代:「SE35歳定年説」
- 2000年代前半:「オフショア開発で日本人プログラマは要らなくなる」
- 2000年代後半:「上流工程の時代。若手はコードより要件定義を覚えろ」
- 2010年代前半:「パッケージ・クラウドで内製は不要。SIerに任せればいい」
- 2010年代後半:「ノーコード・ローコードで誰でも作れる。プログラマは淘汰される」
- 2020年代後半:「AIが書くんだから、プログラミング知識は要らない」 ← いまココ
そして、そのたびに何が起きてきたか。言説を真に受けて技術から手を離した人たちが、数年後リーダーや管理職になったときに軒並み困る――この光景も、同じように繰り返されてきました。

流行る「不要論」は、その時々の道具の名前が変わるだけで、構図はいつも同じなんです。「新しい道具が出た」→「だからもう人の技術は要らない」。この雑な飛躍が、毎回繰り返されているのが現状です。
僕が過去に見た「プログラマ不要論」のその後
実体験を一つ。僕が昔常駐していたSIerでも、「コーディングはオフショアに出せばいい」「若手は上流工程やマネージメントを覚えろ」「プロパーはプログラムを書く必要はない」という空気が強い時期がありました。
その風潮のなかで、若手の多くはコードに触れる機会を失っていきました。彼ら彼女ら自身、悪気はありません。「会社がそう言うから」「上流の方が価値が高いと言われるから」――そう素直に受け止めた結果です。
その後、彼ら彼女ら何が起きたか。
当時の若手たちがリーダーや管理職になったとき、軒並み困っていたんです。
- メンバーの技術的な相談に乗れない(用語の意味からして分からない)
- 工数見積もりが現実離れして、プロジェクトが炎上する
- 成果物の品質を判断できず、ベンダーの言い値を鵜呑みにする
- トラブル時に何が起きているのか分からず、意思決定が遅れる
僕は、そういう光景を直接見てきましたし、相談にも乗ってきました。「上流だけやってきたから、現場の話が分からない」と、夜でも電話で相談してくる管理職は少なくなかったんです。

「作る人は要らない」と言われて一度手を離すと、その後10年は取り戻せない。これはIT業界で何度も繰り返されてきた構図なんです。
AI時代にもそっくりそのまま繰り返される光景
この構図は、AI時代にそっくりそのまま繰り返されようとしています。道具の名前が「オフショア」「ノーコード」から「AI」に変わっただけ。ここで実際に起きがちな場面を見てみましょう。

えー、AIが書いたコードですよね?たぶん大丈夫じゃないですか。
とりあえず期日までにリリースしちゃいましょうよ。

いや、ちょっと待ってください。このコード、入力値のチェックが甘くないですか?この書き方だと、本番で落ちる可能性があります…
この場面で、うめさんのように「AIが書いたから大丈夫」と判断してしまう人は、かなり危険な状態です。AIは自信満々に間違ったコードを出してきます。検証できる人がチームにいないと、そのままプロダクションに投入されます。
これ、過去の「ベンダーに任せきりで見積もりを鵜呑みにする管理職」や「ノーコードで作ったけど保守できない仕組みを量産する現場」と、まったく同じ構図です。道具が変わっただけで、失敗パターンは変わらないんです。
- セキュリティホールのあるコードをレビューなしで通してしまう
- AIが「それっぽく」作った仕様書を、要件とズレたまま採用する
- メンバーが「AIが言ってました」と言えば反論できず、議論が止まる
- 工数見積もりをAIに丸投げし、現実と乖離した計画になる
AIを使いこなすリーダーが実践していること
一方で、AIを上手に使いこなすリーダーもいます。別チームのしゃけ先輩に、コツを聞いてみました。

しゃけ先輩、AIってどう付き合えばいいんですか?プログラミング、勉強した方がいいんですかね?

当たり前だろ。AIが書いたものを「これでいいか」判断できない奴に、リーダーは務まらんよ。俺はAIを”優秀だけど経験浅い部下”だと思って扱ってる。

部下の成果物をレビューするのと同じだよ。中身を読めないとレビューにならん。だからこそ、俺は今でも技術にアンテナ張り続けてる。
- AIの出力は「たたき台」として扱う:鵜呑みにせず、必ず自分で読んで検証する
- 技術のアンテナを張り続ける:新しい言語・フレームワーク・セキュリティ動向を毎週少しずつ追う
- AIを学習加速ツールとして使う:知らない技術をAIに説明させて自分の理解を早める
- メンバーの成長を止めない:若手に全部AIに投げさせず、「自分で考える余地」を残す
僕自身、30年以上この業界で生き残ってこれたのは、流行りの「不要論」に流されず、プログラミングやITの知識に常にアンテナを張ってきたからだと思っています。オフショア・ノーコード・AIと、波は何度も来ましたが、そのたびに「自分で読める・判断できる」という一点が武器になり続けました。
流行に流されないために――本質は「道具を使いこなす目的意識」
ここまで読むと「結局、プログラミング力が全てか」と思うかもしれませんが、それも違います。大切なのは、プログラミングや技術力だけが重要なのではなく、本質が何かを見極める力です。
AIもプログラムもシステムも、あくまで道具です。道具を使って何を達成するのか――その目的意識がなければ、どんなに手段が増えても成果は出ません。道具が変わっても変わらない本質、ここがこのブログでずっと伝えてきた話とつながる部分です。
- 「お客さまが本当に解決したいことは何か」を常に問い直す
- AIの出力をそのまま採用せず、「この業務に合っているか」で判断する
- 「便利だから」ではなく「この目的に最適だから」で道具を選ぶ
そして、本質を見極めるために必要なのが、質の高い情報収集力と判断力です。これは技術的な読解力があって初めて成り立ちます。コードが読めない、AIの出力の良し悪しが分からない状態では、本質の議論に入れません。

「プログラミングを極めろ」ではなく「本質を見抜く力を身につけろ」。そのための土台として、技術の理解は外せない。これは時代が何周しても変わらない、リーダーの普遍的な姿勢なんです。
リーダーが技術力を磨き続ける、現実的な方法
とはいえ「忙しいのに今さら技術を勉強しろなんて」と思う人もいるでしょう。大丈夫です。書けるようになる必要はありません。読めて、判断できればいい。そのための現実的な方法を3つ紹介します。
① AIを「学習加速ツール」として使う
知らない技術に出会ったら、まずAIに「初心者向けに説明して」と聞きます。分からない部分は「もっと具体例を」と重ねる。これだけで、新しい技術のキャッチアップが何倍も早くなります。AIは「使われる側」ではなく「使う側」で付き合うのがコツです。
② メンバーのコードレビューに参加する
「書けない」と「読めない」は別物です。週に1〜2回、メンバーのPR(プルリクエスト)を30分だけでも読む習慣を作る。分からない部分は素直に質問すれば、メンバーの学びにもなります。
③ 技術ニュースを週1でチェックする
ITmediaやPublickey、Qiita、ZennのトレンドなどをRSSで眺めるだけでOK。週15分でも、業界の流れはつかめます。新しい技術名を知っているだけで、メンバーとの会話の入口が増えます。
おにぎりさんのまとめ:流行は変わっても、やることは変わらない

今回はあえて流行りの「AI」を題材にしましたが、冒頭にも書いたとおり、話の中身は時代にとらわれない部分ばかりだったと思います。「オフショア不要論」も「ノーコードで淘汰」も「AIがあるから技術要らない」も、言っていることは構造的に同じなんです。

書けなくても、読める。判断できる。本質を見抜ける。
この三つを磨き続けるリーダーは、流行がAIであっても、その次の何かであっても、ちゃんと「使う側」に立ち続けられます。

流行りに踊らされて手を離すんじゃなくて、流行りをちゃんと評価できる自分でいること。それが、道具に振り回されないリーダーってことですね。
まとめ
今回はあえて、普段は避けている「流行りの話題」を取り上げました。ただ結局、伝えたかったのはこのブログでずっと言い続けている普遍的な話です。
- 「○○があるから技術は不要」という論調は、IT業界で何度も繰り返されてきた
- そのたびに、真に受けて手を離した人から順にリーダーになってから困る
- 書ける必要はないが、読めて判断できる力はいつの時代も必要
- プログラミング・AI・システムは全て道具。本質を見極める目的意識こそが差になる
AIは使い方を間違えなければ強力な武器になります。
実際、私もいろんな場面でAIの恩恵にあずかっている一人です。
ただAIを「今の流行」と捉えらえただけではこの先また別の「不要論」が出てくるでしょう。そのときも同じです。流行りの名前に惑わされず、「自分で読める・判断できる」を磨き続けるリーダーが、結局いちばん強い。――今回だけは流行りの話題でしたが、伝えたいことはいつもと同じでした。


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