「一緒に働きたくない」と言われた|PMO30年で見た、知らないまま外される人との違い

IT現場あるある
おかかくん
おかかくん

昨日、同期から聞いちゃったんだ。「おかかとは一緒に働きたくない」って言ってる人がいるって……。誰が言ってたのかも、何が悪かったのかもわかんないよぉ。

おにぎりさん
おにぎりさん

それはこたえるね。……ただ、今日は少しだけ違う角度の話をするよ。現場を30年見てきた私からすると、その話を「聞けた」こと自体が、実はかなり珍しいことなんだ。

飲み会の帰り道だったかもしれません。給湯室ですれ違いざまだったかもしれません。「あのさ、言いにくいんだけど……」から始まる話を聞いてしまった夜。

家に帰って、靴も脱がないまま玄関に座り込んで、スマホで検索する。「一緒に働きたくない と言われた」。出てくるのは「一緒に働きたくない人の特徴7選」みたいな記事ばかりで、どれも自分を裁く側の言葉でした。

この記事は、その裁く側には立ちません。IT現場で30年、たくさんのチームを見てきた立場から、正直な話をします。結論から言うと、あなたは今、かなり運のいい場所に立っています。ひどい言い方に聞こえるかもしれませんが、最後まで読んでもらえれば、理由がわかると思います。

ほとんどの人は、言われていることを一生知らないまま終わる

30年現場を見てきて、はっきり言えることがあります。

「あの人とは働きたくない」と言われている人は、驚くほどたくさんいます。でも、それを本人が言われている場面を、私はほとんど見たことがありません。

ほぼ全部、陰口です。喫煙所、飲み会の二次会、別プロジェクトの同期とのランチ。本人がいない場所で交わされて、そこで完結します。誰も本人には言いません。言う理由がないからです。

言えば角が立つ。人間関係が壊れる。自分が悪者になる。それなら黙っていた方がいい。みんなそう考えます。私も、正直に言えば、伝えなかった側に回ったことが何度もあります。

だから、こういうことが起きます。

陰口が生まれたあと、道は2つに分かれる 「あの人とは 働きたくない」 本人には伝わらない(ほとんどがこちら) 角が立つ・悪者になりたくない → 誰も言わない 本人は何も知らないまま、いつも通り働き続ける ※ 理由がわからないので直しようがない 次の編成で、静かにチームから外れる 伝えてくれた人がいた(まれ) 痛い。けれど、どの場面が問題かを探せる = まだ間に合う側に立てている この記事を読んでいる あなたは、下のルート
図1:ほとんどの人は「知らないまま」進む。あなたは分岐点に立っている

本人は何も知りません。今日も普通に出社して、普通に仕事をして、普通に帰ります。何も変わりません。変えようがないからです。知らないので。

そして、静かに何かが起きていきます。

知らないまま起きること ── 気づいたら、外されている

陰口が本人に届かないまま溜まっていくと、どうなるか。本人への通告ではなく、配置で処理されます

次のプロジェクトのメンバー表に名前がない。重要な検討会に呼ばれなくなる。「今回は別の人でいくことになって」と説明される。チーム編成のタイミングで、そっと外される。

私が見てきた中で、実際にそうなった人は何人もいます。共通していたのは、本人が最後まで理由をわかっていなかったことです。「なんで自分だけ外されるんだろう」「上とそりが合わないのかな」で終わってしまう。

誰も教えてくれないので、直しようがありません。直しようがないので、次の現場でも同じことが起きます。これが、いちばんつらいパターンです。

ここが分かれ道

あなたには、それを教えてくれた人がいました。角が立つのを承知で、嫌われるかもしれないのに、伝えてくれた人がいた。
耳が痛い情報ですが、これは「まだ間に合う側」に置いてもらえたということです。ほとんどの人には、この機会すらありません。

陰口の中身は「性格」ではなく、たいてい特定の場面

とはいえ、「働きたくないと言われた」という情報だけでは、何をどうすればいいのかわかりません。ここからは中身を分解していきます。

30年見てきて、陰口を言われやすい人には、はっきりした傾向がありました。ひとことで言うと、我をすごく通す人です。

誤解しないでほしいのですが、意見が強いこと自体は悪いことではありません。技術的にちゃんと考えていて、譲れない理由がある人も多い。むしろ仕事はできる人が多いです。

問題は、通し方です。具体的にはこういう場面で言われます。

  • 決まりかけた話を、最後にひっくり返す
  • 他の人の案を、理由を説明せずに否定する
  • 自分の担当範囲の決定を、周りに相談せず進める
  • 相手が納得していないのに、話を終わらせて次に進む

並べてみると、どれも「その人の性格」ではなく「その場面での行動」です。ここが大事なところです。

「あなたは自己中心的な人間だ」と言われたら、直しようがありません。人格は変えられませんし、変える必要もありません。でも「あの会議で、コンブくんの案を理由なしに切ったよね」なら、次の会議から変えられます。

だから、落ち込む前にやることがあります。言われた内容を、場面に翻訳し直すことです。

「人格の話」で受け取ると動けない 人格の話として受け取る 「自分は自己中心的な 人間なんだ」 直しようがない・落ち込むだけ 明日、何も変わらない 場面の話に翻訳する 「あの会議で、相手の案を 理由なしに切った」 次の会議から変えられる 明日、動ける ※ 陰口の中身は、たいてい「特定の場面での行動」が人格の評価に育ったもの
図2:人格の話として受け取ると動けない。場面の話に翻訳すると動ける

人づてに聞く言葉は、なぜあんなに刺さるのか

ここで、私自身の話をします。

あるとき、直接の関係者ではない第三者から、こう言われたことがあります。

「かずさんと〇〇くんの関係って、軍隊みたいだよね」

悪意はなかったと思います。おそらく半分は冗談で、場を和ませるつもりの一言でした。言った本人は、たぶん翌日には忘れています。

でも、私はけっこう長く引きずりました。自分では指導しているつもりだった。相手のためだと思っていた。それが外から見ると上下関係の押し付けに見えていたということです。

人づてに聞く言葉が刺さるのは、こういう構造があるからです。

  • 反論できない ── その場にいなかったので、説明も釈明もできない
  • 誰が言ったかわからない ── 全員が疑わしく見えて、職場が怖くなる
  • 自覚がない部分を突かれる ── 自分では良かれと思ってやっていた分だけ深く刺さる

だから、落ち込むのは当たり前です。「気にしすぎ」でも「メンタルが弱い」でもありません。あの言葉は、そういう刺さり方をするようにできています。

ただ、あとから振り返って思うのは、あの一言があったから気づけたということです。言われなければ、私はずっと同じ距離感で人と接していました。

伝聞は歪む。だから、まるごと信じなくていい

ここまで「向き合おう」という話をしてきましたが、同じくらい大事なことを言います。

人づてに届いた話を、そのまま100%受け取る必要はありません。

伝聞は、必ず形が変わります。理由は3つあります。

  • 強い言葉だけが生き残る ── 「あの進め方はちょっとやりにくい」が、伝わるうちに「一緒に働きたくないらしい」になる
  • 文脈が落ちる ── 特定のプロジェクトの、特定の時期の話だったのに、あなたという人間全体の評価として届く
  • 伝える人の解釈が乗る ── 教えてくれた人の心配や、ときには思惑が、少し混ざる

実際、私が見てきた陰口の多くは、元をたどると「特定の一場面への不満」でした。それが人の口を経由するうちに、人格への評価に育っていた。

だから、こう扱うのが現実的です。

  1. 「そう感じた人がいる」という事実だけは、いったん受け取る
  2. 「自分は嫌われている人間だ」という結論には、まだ飛ばない
  3. 思い当たる場面が1つでもあれば、そこだけ手当てする

思い当たる場面が1つもないなら、無理に探さなくていいです。相性の問題や、相手側の事情ということも普通にあります。全員に好かれる必要はありません。

明日からできる、たった一つのこと

やることを増やしても続きません。ひとつだけにします。

自分の意見を通したあと、相手に一言だけ確認をつける。

「この進め方でいこうと思うけど、気になるところある?」
「今の説明、納得できてないところあったら言ってほしい」

これだけです。意見を引っ込める必要はありません。譲る必要もありません。通したうえで、相手に置き場所を作るだけです。

陰口になる原因の多くは「自分の意見が扱われなかった」という感覚です。決定内容そのものより、扱われ方で人は不満を溜めます。逆に言えば、一言確認するだけで、その不満はかなり減ります。

私が「軍隊みたい」と言われたあとに変えたのも、実はこれだけでした。指導の中身は変えていません。最後に「今の言い方、きつくなかった?」と聞くようにした。それで、関係はだいぶ変わりました。

どうしても戻らないときは、離れていい

ここまで書いてきましたが、全部やっても関係が戻らないことはあります。

すでに周りが「そういう人」という前提で動いている場合、行動を変えても評価が追いつくまでに時間がかかります。半年、一年かかることもあります。その間ずっと居心地の悪い場所にいるのは、単純にしんどい。

そういうときは、異動も転職も、逃げではありません

人間関係は相手との組み合わせで決まります。同じ人でも、チームが変わればまったく問題なく回ることは、現場で何度も見てきました。合わない現場から離れるのは、環境を選び直しているだけです。

ひとつだけ条件をつけるなら、思い当たる場面の手当てだけは済ませてから動くこと。それをしないで場所を変えると、次の現場で同じことが起きます。逆に言えば、手当てさえしていれば、環境を変えるのは有効な選択です。

よくある疑問

「一緒に働きたくない」と言われました。誰が言ったのか突き止めるべきですか?

おすすめしません。犯人捜しを始めると、教えてくれた人との関係まで壊れやすく、周囲にも「詮索する人」という印象が残ります。誰が言ったかより、どの場面の話なのかを探す方が、実際の改善につながります。伝えてくれた相手に「どんなときの話だったか、わかる範囲で教えてほしい」と聞くだけで十分です。

言われた内容に、まったく心当たりがない場合はどうすればいいですか?

無理に自分の非を探す必要はありません。伝聞は途中で強い言葉に変わりやすく、元は特定の一場面への不満だったというケースが多いためです。心当たりが本当にないなら、相性や相手側の事情である可能性も十分あります。「そう感じた人がいる」という事実だけ受け取り、必要以上に人格の問題として抱え込まないでください。

言われたことを、相手に直接確認しに行ってもいいですか?

相手を問い詰める形になるため、基本的には避けた方が無難です。多くの陰口は本人に伝える意図なく交わされており、直接確認されると相手は防御に回り、関係がさらに固くなります。確認するなら本人ではなく、普段一緒に仕事をしている信頼できる同僚に「自分の進め方でやりにくいところはないか」と聞く形が現実的です。

まとめ|知れたことは、耳が痛いけれど幸運です

  • 「働きたくない」と言われている人の大半は、それを知らないまま静かに外されていく
  • あなたには伝えてくれた人がいた。痛いが、まだ間に合う側に立てている
  • 陰口の中身は人格ではなく、たいてい特定の場面の行動。そこだけ手当てすればいい
  • 伝聞は歪む。まるごと受け取らず、思い当たる部分だけ拾えばいい
  • やることは一つ。意見を通したあとに「気になるところある?」と一言つける

今夜はきっと、よく眠れないと思います。それでいいです。無理に前向きにならなくて構いません。

ただ、ひとつだけ覚えておいてください。何も知らされないまま次の現場に流れていく人を、私は何人も見てきました。あなたはそうならなかった。それは、あなたを見ていた人がいたということです。

明日、会議で自分の意見を通したら、最後に一言だけ足してみてください。そこから変わります。

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