
この仕様、なんでこうなってるんですか?「前システムがそうだったから」って…それって理由になりますか?
IT業界30余年、フリーランスのシルバーエンジニア。おにぎりです。
システム開発の現場で何度も耳にしてきた言葉があります。
「現行踏襲でお願いします」。
仕様書にも載っていない。誰も理由を説明できない。でも「変えてはいけない」という空気だけが漂う——。
この記事では、IT現場に蔓延する「現行踏襲」の意味・問題点と、SE歴30年の現場目線での対処法をお伝えします。
- 「現行踏襲」の意味と、なぜ問題なのか
- IT現場で現行踏襲が起きる3つの原因
- 現場に与える具体的なダメージ
- 現行踏襲を正しく退治する3ステップ
結論:「現行踏襲」は根拠なき思考停止。問い直しで退治できる
現行踏襲は「前と同じ」という思考停止の隠れ蓑。誰も理由を説明できないなら、それは仕様ではなく惰性です。「なぜ必要か?」を問い直し、見える化と対話で正体を暴いていきましょう。
「現行踏襲」とは?意味と正体

「現行踏襲」とは、前システム・旧仕様をそのまま引き継ぐことを指す言葉だよ。一見もっともらしいけど、中身がないケースが多いんだ。
「現行踏襲」とは、開発・改修時に「前のシステムと同じようにしてください」という指示のこと。一見合理的に見えますが、問題は「なぜそうなっているか」の根拠が誰にも分からないケースが多いことです。
要件定義書にも仕様書にも記載がない。担当者に聞いても「昔からそうです」しか返ってこない。でも変えようとすると「前と同じにしてほしい」と言われる。これが「現行踏襲という名の妖怪」の正体です。
IT現場で現行踏襲が起きる3つの原因

なんでこんなに「現行踏襲」が多いんだろう?現場では当たり前みたいになってるけど…
原因1:仕様を知っている人がもういない
システムの歴史が長くなるほど、当初の設計判断を覚えている人がいなくなります。ベテランが退職し、ドキュメントも整備されていないため、「なぜそうなっているかわからないまま引き継がれる」仕様が積み重なります。
原因2:過去の判断を疑う空気がない
「昔からそうだから」「前もそうだったから」という言葉が、思考を止めます。特に長年同じシステムを使ってきた組織ほど、現状を疑うことへの心理的ハードルが高くなる傾向があります。
原因3:変えることへの恐怖・責任回避
「変えて何か問題が起きたらどうする」という恐怖から、誰も変えようとしない。あるいは「誰かが決めたことを変えた責任を取りたくない」という心理も働きます。現行踏襲は、実は人間の防衛本能の産物でもあるのです。
現行踏襲が現場に与える3つのダメージ

「まあ前と同じでいいか」で済ませると、プロジェクト全体に悪影響が出てくるよ。
- 工数・コストの肥大化:不要な機能や処理を維持するための開発・テスト工数が膨らむ
- 品質リスクの増大:誰も理由を知らない仕様をそのまま実装するため、バグの温床になりやすい
- 改善機会の喪失:「前と同じ」に縛られることで、本来できた業務改善・効率化のチャンスを逃す
現行踏襲の退治法(3ステップ)

「現行踏襲」に振り回されないために、現場リーダーとして取るべき3つのステップを紹介するよ。
ステップ1:「なぜ必要か?」を問い直す
まず関係者全員に「この仕様がなぜ存在するのか」を確認して回ります。誰も答えられない仕様は、不要な遺物である可能性が高い。「前がそうだったから」は理由にならないことを、チームで共通認識として持ちましょう。
- 「この処理がなくなったらどうなりますか?」と具体的に聞く
- 業務担当者・発注者・旧システム関係者など、複数の視点から確認する
- 「わからない」という回答が続いた場合は、廃止候補としてリストアップ
ステップ2:背景を記録・見える化する
残す理由がある場合は、「なぜ残すのか」をドキュメントに残すことが重要です。次の開発者が同じ問いを繰り返さないよう、判断の根拠を引き継げる状態にします。
- 「この仕様は○○という理由で残存。変更時は□□に影響あり」と明記する
- 設計書やWikiなどに集約し、次世代への知識継承を図る
- 「謎仕様リスト」として管理し、プロジェクト期間中に順次解消していく
ステップ3:選択肢を提示して決断させる
問い直した結果は、意思決定者が判断できる形で提示します。「このまま踏襲するとどうなるか」「変えるとどうなるか」を比較材料として出すことで、感情論でなく論理的な判断を促します。
- 「踏襲する場合のコスト・リスク」と「変更する場合のコスト・メリット」を数字で示す
- 最終判断は発注者や上位管理者に委ね、記録として残す
- 決定後は全員が合意した内容として仕様書に明記する
おにぎりの実体験
あるレガシーシステムのリプレース案件で、帳票の出力フォーマットについて「現行踏襲で」という指示が出ました。しかし実際に確認すると、その帳票はすでに5年以上印刷されておらず、誰も使っていなかったのです。
「前と同じに作ってください」を鵜呑みにしていたら、誰も見ない帳票のために数週間の工数をかけていたことになります。「なぜ必要か?」のひと言で、その工数をゼロにできました。
現行踏襲に限らず、IT現場には「誰かが決めたから」「昔からそうだから」という根拠で生き残っている仕様が数多くあります。それを問い直す勇気こそ、リーダーに求められるスキルだと私は考えています。
まとめ:「前と同じ」に疑問を持つことがプロの仕事
- 「現行踏襲」は根拠のない思考停止。仕様でも要件でもない
- 原因は「知識の断絶」「空気」「責任回避」の3つ
- 放置すると工数肥大・品質劣化・改善機会の損失を招く
- 退治法は「問い直す→記録する→選択肢を出す」の3ステップ
- 「前がそうだったから」ではなく「今どうあるべきか」を考えるのがプロ
明日からできるアクション
- 「現行踏襲」という言葉が出たら、まず「なぜ必要か?」を1回聞いてみる
- 誰も答えられない仕様は、廃止候補リストに追加する
- 残す仕様は「残す理由」をドキュメントに書き残す

「前と同じで」って聞いたら、まず「なぜ?」って聞く習慣をつけてみます!
この投稿が悩んでいる人へのヒントになればうれしいです。もし、ご意見や扱ってほしいテーマなどがあれば、気軽にコメントしてください!



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