
この前、なんとかして褒めようと思って声をかけたんだけど、反応が微妙で……
IT業界30余年、フリーランスのシルバーSE。おにぎりです。
「褒め方がわからない」という相談は、意外と多い。部下を褒めたいと思っているのに、なんて言えばいいか毎回迷う。褒めたつもりが素っ気ない反応で終わった。そういう経験をしているリーダーが、けっこういる。
結論を先に言うと、うまく褒めようとしなくていい。素直に感じたことを口にした言葉の方が、相手の記憶に残ることが多い。
褒めたはずが、なぜ届かないのか

報告書を出してもらったときに「よくまとまってますね」って言ったんだけど、「ありがとうございます」って言われただけで、全然嬉しそうじゃなかった。

それ、”褒め”じゃなくて”評価”になってたかもね。
「よくできてますね」「うまいですね」。こういう言葉は、一見褒めているように見えるけれど、上の立場から下を見ている感じが端に滲み出てしまうことがある。
部下にとって、「評価されている」という感覚は「褒められている」という感覚と少し違う。評価は点数をつける行為で、どこか試験の結果を告げられているみたいに聞こえてしまうこともある。褒め方がわからなくて当然だと思う。褒めるって、けっこう難しい。
何年も後に気づいたこと
以前、後輩に軽く声をかけたことがあった。どんな言葉だったか、正直よく覚えていない。なにか作業をしてもらったとき、「いや、それ助かった、ありがとう」と言ったか、「そこ気がついてくれてよかった」と言ったか。そのくらいの一言だったと思う。
何年か後、その後輩にこう言われた。「あのとき褒めてもらって、すごく嬉しかったです。あの言葉があったから頑張れました」
正直、驚いた。褒めたつもりもなかったし、相手がずっとその言葉を覚えていたとも思っていなかった。素直に感じたことを、そのまま口にしていただけだった。

計算した言葉より、素直な言葉の方が人の記憶に残ることって多いよ。褒めようと思って考えすぎると、どうしても言葉が”演技”になっちゃうからね。

じゃあ、うまく褒めようとしなくていいってこと?

うん。ただ、素直に言えばいいっていうのも、タイプや場面によって少し工夫できることはあるよ。
部下の3タイプ別・刺さりやすい言葉
部下によって、どんな一言が嬉しいかは違う。タイプで大まかに分けると、こんな傾向がある。

承認欲求型:「認めてほしい」が強いタイプ
成果よりも「見てもらえた」という感覚が大事。「気がついてくれてよかった」「あそこ、ちゃんと見てたよ」という言葉が刺さりやすい。「うまい」「よい」という評価語より、気づきを言語化した言葉の方が響く。

「よくできました」って言うより、「あそこ気がついてくれてよかった」の方が、自分を見てもらえた感じがするんだよね。
成長志向型:「もっとうまくなりたい」タイプ
単純な承認より、フィードバックとセットの方が嬉しい。「ここは前よりよくなってる」「この部分、先週と全然違う」という言葉に手応えを感じる。比較対象は「他の人」ではなく「以前の自分」にすることが大事で、他者比較はプレッシャーになりやすい。
ベテラン型:「成果を出してきた人」
今さら「よくできましたね」と言われても響かないことがある。「あなたがいるから助かってる」「あの経験、チームに活きてる」という、貢献への感謝の言葉が刺さりやすい。長く現場にいる人ほど、「評価」より「必要とされている」という感覚を求める。

ベテランの人への「よくできました」って、確かになんか違う気がしてた。

そうそう。長く現場にいる人は「評価」じゃなくて「必要とされてるか」が気になるからね。
場面別・具体的な声のかけ方
褒めるタイミングや状況によっても、言葉の選び方は変わってくる。

日常業務の中で
仕事の合間に「ちょっとそこ、よかったな」と声をかけるのが一番自然で届きやすい。特別感を出そうとして改まった言葉を選ぶより、思ったその場で口にする方が伝わる。褒める機会を「どこかで作ろう」と考えていると、タイミングを逃し続けることになる。
ミスをしたあとの場面で
ミスを指摘した後で同じ件を褒めると、「フォローされてる」と感じさせてしまうことがある。ミスと無関係の別の行動を見つけて褒める方が、部下が素直に受け取りやすい。「さっきの件は反省点があったけど、朝のあの報告は助かったよ」という伝え方がわかりやすい。

ミスの直後に「でも、あそこはよかったよ」って言うと、慰めみたいになっちゃうんですね。

そうそう。別の件で見つけた方がいい。ミスと切り離すことで、褒め言葉がちゃんと届く。
周囲に人がいる場面で
人によっては、人前で褒められることが苦手なこともある。本人を見ていて嫌そうな様子があれば、後で1対1で伝える方がいい。一方、「みんなの前で認められた」ことが大きな力になるタイプもいる。反応を見ながら使い分けることが、失敗を減らす。
上手く言えなくても、届く言葉はある

なんか、褒め方が下手でも、素直に言えば届くってわかってきた気がする。

届いたかどうかは、その場ではわからないことも多いけどね。何年後かに教えてもらえることもあるから。
「よくできました」じゃなくていい。「うまいですね」じゃなくていい。
思ったことを、思ったときに、そのまま口に出す。それだけで、相手の記憶に残る一言になることがある。褒め方は、うまくならなくていい。素直な気持ちを言葉にするだけでいい。
あなたにも、誰かに何気なく言った言葉が、ずっとあとで「嬉しかった」と返ってきた経験があるだろうか。あるいは、逆に誰かの一言がいまも頭に残っている、という記憶があるかもしれない。
そんな話があれば、コメントで教えてもらえると嬉しい。読んでいます。


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